プログラミング初心者のためのPython環境構築【Windows編】

プログラミング初学者の最大の障害はプログラミング自体の難しさや複雑さではありません。自分のパソコンでプログラミングをできるように準備すること(環境構築)こそが鬼門となります。

そこでこの記事では、プログラミング初心者の方でもWindows にPython をインストールする(あなたのパソコンでPython プログラムを動かせるようにする)手順を紹介します。

さらに付録として、複数のPython のバージョンを管理するツール(pyenv)のインストール方法もまとめました。将来的に複数のプロジェクトを担当するようになるとPython のバージョンを使い分ける必要性が出てきます。Pythonを始めるのに必須ではないのですが、せっかくなので一緒にインストールしてしまいましょう。

Python の環境設定

Windows ではPython をインストールする方法が大きく分けて2つあります。

  1. Microsoft Store でPython をインストールする
  2. 公式サイトからPython のインストーラー(Python をインストールするプログラム)をダウンロードし、実行する

1の方法が最も簡単なのですが、Microsoft Store でインストールされたPythonには操作できるファイルに制限がかけられます。(具体的に言うと、デスクトップやドキュメントなどの共有場所にアクセスできなくなります)

その他にも、Microsoft Store からインストールされたPython の安定性への指摘や、Microsoft Store にある偽物のPython による詐欺被害などが報告されているため、筆者としましては2の公式サイトからのインストールをお勧めします。

既にインストールされているか確認しよう

基本的に、過去にインストールされたPython は時間が経っても無くなることはありません。絶対にPython をインストールしたことがない自信がある方は次の「公式サイトからPythonをインストールしよう」へ移動して下さい。

インストールされているかの確認にはコマンドプロンプト(Command Prompt) を使います。
因みにこのコマンドプロンプトはPython を実際に動かすときにも使えるのでタスクバーにピン留めすることをお勧めします。まだタスクバーにピン留めされていない人は、Windows ロゴキーとSを同時に押してパソコン内アプリを検索して開きましょう

以下の画像のように、検索窓に「コマンドプロンプト」と入力すると以下のようにコマンドプロンプトのアプリが表示されます。そしたらEnter キーを押すとコマンドプロンプトを開くことができます。

Windows 11でも検索できると思います

コマンドプロンプトが開いたら、以下のコマンドをコピーして、コマンドプロンプトに貼り付け、Enterを押して実行してください。

python -V

このコマンドは、現在インストールされているPythonのバージョンを表示するものです。

実行した時に、'python'は内部コマンド、もしくは外部コマンド、操作可能なプログラムまたはパッチプログラムとして認識されていませんと表示された場合はPython がインストールされていない証拠になります。

反対に、Python 3.10.2のようにPython 3.X.Xと表示された人はPython がインストールされています。早速Python を勉強するのも良いですが、せっかくなので「pyenv の環境設定」もお試しください。

公式サイトからPythonをインストールしよう

インストール手順を大きく分けると以下のようになります。

  1. 公式サイトからインストールするためのプログラム(インストーラー)をダウンロードする
  2. インストーラーを実行する

それぞれのステップに1, 2個の注意点があるので、それらを意識しながらインストールしましょう。

インストーラーのダウンロード

まずはPython 公式サイトの「Windows 用インストーラーダウンロードページ」を開きます。そうすると以下のような画面が出てくると思います。

太文字で書かれた「Python Releases for Windows」 の直後にある「Latest Python 3 Release – Python 3.X.X」リンクをクリックします。そうすると新しいページに移動するので、太文字で「Files」と書かれた場所までスクロールしましょう。

この表の一番下に「Windows installer (32-bit)」と「Windows installer (64-bit)」があります。

基本的にどのパソコンでも64-bit 版は動くようになっているので、確認するのが面倒だという人は「Windows installer (64-bit) 」をクリックしてダウンロードして下さい。

厳密に確認したい人は設定アプリから確認できます。Windows ロゴキーとIを一緒に押して設定アプリを開きます。設定アプリが開いたら「システム」>「バージョン情報」の順でクリックし、「デバイスの仕様」の「システムの種類」を確認して下さい。

一般的には64ビットだと思います

上記の「システムの種類」を参考にWindows installer (32-bit)かWindows installer (64-bit) のどちらかをクリックして、インストーラーをダウンロードします。

インストーラーを実行する

Chrome を使っている方は、画面左下にダウンロードした「python-3.X.X-amd….exe」が表示されているはずなのでそれをダブルクリックして実行しましょう。

Edge を使っている方は、Windows キーとEを一緒に押してエクスプローラーを開き、ダウンロードフォルダーにあるpython-3.X.X-amd64.exe (もしくはpython-3.X.X-amd32.exe)をダブルクリックしましょう。

ダブルクリックするとインストーラーが実行され、以下のような画面が表示されるはずです。Install Now を押す前に、Install launcher for all users とAdd Python 3.X to PATH のチェックボックスを必ずオンにしましょう

2つのチェックボックスのどちらにもチェックしたことを確認したら「Install Now」をクリックして下さい。
しばらく待つと、Python のインストールが完了したことを知らせるメッセージが表示されます。

動作確認をしよう

先ほどの「既にインストールされていない確認する」でコマンドプロンプトを開いている人は、1度コマンドプロンプトを閉じましょう。そしてまたコマンドプロンプトを開き直します。繰返しになりますが、Windows キーとSを一緒に押すとWindows 内を検索できます。

コマンドプロンプトを開くことができたら、もう1度以下のコマンドを実行します。

python -V

インストールしたバージョンPython 3.X.Xが表示されれば、無事にPython のインストールに成功したことになります。

Microsoft Store が表示されてしまうとき

これまで説明した通りのことを行ってきても、お使いのパソコンの設定によってはMicrosoft Store のPython のページが表示されるかもしれません。

そのような時は、設定アプリから「アプリと機能」>「アプリ事項エイリアス」を開き、アプリインストーラーをオフにすれば直るはずです。

念の為、コマンドプロンプトを開き直してみて下さい。

pyenv の環境設定

pyenvとは?

pyenvとは複数のPython のバージョンを管理できるようにするツールです。

Python を勉強中の方が、今から複数のPython のバージョンを管理することはまだないかもしれません。そんな初学者の方でも感じられる大きなメリットがあります。

それはズバリ、新バージョンのPython の新機能を試しやすくなるということです。

例えば、Python 3.8 以降から:= という演算子を使えるようになりました。この演算子を使えば同じプログラムを打つ回数を減らし、プログラムの読みやすさを向上させることができます。

user_input = input("パスワード: ")
while user_input != PASSWORD: print("パスワードが違います。もう一度入力して下さい。") user_input = input("パスワード: ")
while (user_input := input("パスワード: ")) != PASSWORD: print("パスワードが違います。もう一度入力して下さい。")

さらに、Python 3.9 以降からはzoneinfo というタイムゾーンを設定できる機能などが使えます。

from zoneinfo import ZoneInfo
from datetime import datetime
# 何も指定しなければグリニッジ標準時を表示します
print(datetime.now())
# => 2022-03-06 19:36:56.959459
# タイムゾーンを設定して、東京の現在時刻を取得します
print(datetime.now(ZoneInfo('Asia/Tokyo')))
# => 2022-03-06 19:36:58.200443+09:00

「だったらPythonのバージョンをアップグレードすればいいのでは?」
と言うのは自然な疑問ですが、例えば研究やプロジェクトで使用しているライブラリが新しいバージョンのPythonをサポートしていないときにアップグレードするのは得策ではありません。

「複数のバージョンを管理するツールならPythonより先にpyenv をインストールする必要があるのではないか?」
と感じる人もいると思います。実際にmacOS などでは先にpyenv をインストールしますが、Windows ではpyenv を単独でインストールできないので、先に公式サイトからPython をインストールしました

pyenvをインストールしよう

pyenvをインストールする

少々前置きが長くなってしまいましたので、先にpyenv をインストールするコマンドを紹介します。インストール中に説明を読んでみて下さい。

pip install pyenv-win --target %USERPROFILE%\.pyenv

pipはPython の拡張機能(ライブラリ)を管理するコマンドです。

例えば、高速な行列計算をしたいときはpipを使ってNumPy というライブラリをインストールしますし、AIをプログラムしたいときはTensorFlow やPyTorch などのライブラリをインストールします。

後半の--target %USERPROFILE%.pyenvは、pyenvのプログラム本体をC:\Users\あなたのユーザー名\.pyenv にダウンロードするように指定しています。

pyenvをコマンドプロンプトから呼び出せるようにする

残念なことに、ただインストールしただけではpyenvをコマンドプロンプトから呼び出すことができません。なぜなら、パソコンは「どこに実行可能なプログラムがあるか」を知らないとプログラムを実行できないからです。この実行可能なプログラムがある場所をパス path と言います。

Windows ではパスの情報をコントロールパネルで編集できます。

Win + Iで検索しましょう

コントロールパネルを開いたら、検索窓に「環境変数」と入力しましょう。そうすると以下のような結果が表示されるはずです。

この「環境変数を編集」をクリックすると新しい画面が表示されます。

その新しい画面の中の「[あなたのユーザー名]のユーザー環境変数」の下にある「Path 」という行を選択し、「編集」ボタンを押します。

そうすると今度は「環境変数名の編集」という画面が出てくるので、以下のテキスト情報を2つに分けて「新規追加」して下さい。

%USERPROFILE%\.pyenv\pyenv-win\bin
%USERPROFILE%\.pyenv\pyenv-win\shims

追加が終わったら、新規追加した2つの情報を「上へ」ボタンで1番上に移動します。

図のように一番上にあることを確認したら「OK」ボタンなどを押して、これまでに開いたコントロールパネルの画面を終了します。

基礎設定をしよう

動作確認の意味も含めて、Python のバージョン設定を済ませます。

まずは、pyenvでインストールできる最新のPython を検索します。新しく開いたコマンドプロンプトで以下のコマンドを実行して下さい。

pyenv install --list

ずらっと長い結果が表示されますが、ただ単に「3.X.X」と書かれているものを見つけて下さい。この記事を執筆時点での最新バージョンは3.10.2でした。

あとは実際にそのバージョンのPython をインストールして、パソコンのどこでも使えるように設定します。

pyenv install 3.10.2
pyenv global 3.10.2
pyenv versions

最後のコマンドは、pyenv にインストールされている全てのPython のバージョンを表示します。*がついているバージョンが、あなたが現在選択しているPython のバージョンです。私の場合は以下の結果が返ってきました。

* 3.10.2 (set by C:\Users\nariakik\.pyenv\pyenv-win\version)

似たような結果が返ってくれば成功です。お疲れ様です!

当サイトでは、プログラムを書くエディタとしてVSCode を推奨しています。その詳しいインストール方法などは後日記事にまとめます。

もし、初めてのPython プログラミングで何をしようか迷ったら以下の記事をお勧めします。この記事では、全くのプログラミング初心者の方でもポケモンワードルの制作を通してプログラミングの基礎を学ぶことができます。是非ご覧下さい。

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