プログラミングで一番初めの大きな壁は環境構築です。
それ故に一般的なPython講座などでは「Google Colabなどのネット上でPython プログラムを動かしましょう」とされることが多いです。
しかし、あなたのパソコン上でPython を動かせるようになるメリットは大きく分けて2つあります。
1つはあなたのパソコン内のファイル、フォルダをPython で編集できること。
例えば、仕事で使う機密のエクセルファイルを処理するにはネットにアップロードせずに自分のパソコンで処理する必要があります。そこまで重要なデータを扱わずとも、「1年以上更新していないファイルを検索して全て削除する」「デスクトップにあるPNG画像だけを1つのフォルダにまとめる」などのちょっとした整理整頓にも役立ちます。
2つ目はオフライン時でも作業できること。田舎のホテルに泊まる時や飛行機で移動するときなどネットの繋がらない環境でも研究や仕事が行えるのは便利ですよ。
このようにPython を自分のパソコン上で使える大きなメリットがあるのでぜひ挑戦しましょう。必要な情報はしっかりとこの記事だけでまとめているので大丈夫です!
Python のインストールに使うmacOSのアプリはTerminal です。Terminal の場所がわからない方は、command⌘とスペースを同時に押し、Terminal と入力すると検索結果が表示されると思います。
Contents SHOW
作業の流れ
brew
とは、macOSの初期設定では使えないコマンドを追加したり削除したりできるツールです。brew
はPython 3のインストールに必須なだけではなく、これからJavaScript やRust などの他のプログラミング言語に挑戦したいと思ったときにも使うツールなので、しっかりと使えるようにしましょう。
pyenv
は複数のPython を管理することのできるツールです。なぜそんなツールが必要なのかについては後述します。
大本命のPython 3のインストールです。ここまでの設定を終えているなら4個のコマンドを実行するだけでインストールできます。
Python 3のインストールが成功したか、ちゃんとTerminal から呼び出せるかをテストします。
また、簡単なPython プログラムを作って実行してみます。
brewのインストール
とりあえず、以下のコマンドをTerminal 上で実行して下さい。おそらく実行には少し時間がかかるので、その間にHomebrewについて説明します。
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
Homebrewとは?
一言で説明すると、Homebrew はMac にない機能を追加したり更新したりできるツールのことです。
他の人がネット上で公開しているプログラムのことをパッケージと言い、それをインストールすることであなたのパソコン上で追加の便利な機能を使えるようになります。
インストールに必要なRubyプログラム(Formulae)も一緒に保持されており、brew
はそのFormulaeに基づいて以下のようなインストールや更新、削除などをします。
- パッケージのインストール
brew install ipython
:ipython
という名前のパッケージの取得&インストールを行います。
- 一覧表示
brew list
: 過去にインストールしたパッケージを一覧表示します。
- Homebrew の更新
brew update
: Homebrew 自体を最新のバージョンに更新し、インストールされたパッケージに最新版がないかを調べます。(実際に更新はしてくれません)
- Homebrew とパッケージの更新
brew upgrade
: Homebrew 自体と、インストールされている全てのパッケージを最新のバージョンに更新します。
- パッケージの削除(
uninstall
)brew uninstall ipython
: アンインストールは名前通り、インストールとは反対のことをします。つまり、あなたのパソコンでipython
を使えないようにしてくれます。
brew
のインストールは終わりましたでしょうか?正しくインストールされていることを確認するために以下のコマンドを入力して下さい。command not found: brew
が出てこなければ成功です。
brew
pyenvのインストール
まずは先にインストールをしてしまいましょう。以下のコマンドを1行ずつ実行して下さい。
brew install pyenv echo 'export PYENV_ROOT="$HOME/.pyenv"' >> ~/.zshrc echo 'export PATH="$PYENV_ROOT/bin:$PATH"' >> ~/.zshrc source ~/.zshrc
pyenvとは?
pyenv
の名前は複数のPython の環境 environment を管理できることから由来しています。pyenv
を用いて複数のPython 環境を持つと、複数のアプリのメンテナンスが楽になります。
例えばあなたがWeb サイトを作ろうと思い、Python の他にWeb サイトを作るのに必要なライブラリをいくつかインストールしたとします。無事にそのWeb サイトの制作が終わったので、あとはそのWeb サイトでバグが出たら直すようにしています。
そのWeb サイトを見たあなたは友人は最新のAIを使った別のWeb サイトを作って欲しいそうです。しかし、そのAI用のライブラリをインストールするにはPython のバージョンをアップグレードする必要があるのですが、Python をアップグレードすると自分のWeb サイトの一部のライブラリが使えなくなります。
こんな板挟みの状態は、pyenv
をインストールし複数のバージョンのPythonを管理できるようになることで解決できます。
pyenv
の簡単な使い方
よく使うpyenv
のコマンドを紹介します。今は流し読み程度で見ておくのがちょうど良いと思います。
pyenv install -l
- インストールできるPython のリストを取得
pyenv install 3.X.X
- 名前を指定してPython をインストール(3.10.2, anaconda3-5.3.1 など)
pyenv version
- 現在使われているPython のバージョン
pyenv versions
- インストールされている全部のPython のバージョン
pyenv global 3.X.X
- パソコンの中のどこにいても使えるPython のバージョンの設定
pyenv local 3.Y.Z
- 現在のフォルダ内のみで使えるPython のバージョンの設定
pyenv virtualenv 3.X.X app_name
- 独立したPython の環境の作成
- この中でPython やライブラリのバージョンを変えても元の環境には影響しない
pyenv activate app_name
- 独立したPython 環境の有効化
- Python やライブラリのバージョンを変えるときは、事前に有効化する
pyenv deactivate
- 独立したPython の環境を抜け、元の環境に戻る
Pythonのインストール
実際にpyenv
を使って環境を設定しましょう。
pyenv install -l pyenv install 3.10.2 pyenv versions pyenv global 3.10.2
1行目から説明します。
- インストールできるリストを表示します
- 表示されたリストの中から、最新のバージョンをインストールします
- インストールされた全てのPython のバージョンを表示し、無事にインストールされたことを確認します。
- 先ほどインストールしたバージョンのPython をパソコン上のどこでも使えるように設定します。
ここではブログ執筆時(3/1/2022)に最新のPython 3.10.2 をインストールしていますが、3.10.3
や3.11.0
などがインストールできるようなら最新版をインストールすることをお勧めします。
動作確認
前回のコマンドに引き続き、Terminal 上でこの記事の一番初めに実行したpython3 -V
コマンドを実行してみましょう。Python あなたのインストールしたバージョン
(ここではPython 3.10.2
)が返って来れば成功の証です!
さて、ここで終わっても良いのですが、簡単なPython プログラムを作って実行してみましょう。以下のコマンドをTerminal で1行ずつ入力して下さい。
touch hello.py open hello.py
このコマンドはhello.py
というファイルを作って開くというものです。
Python プログラムが書かれたファイルは.py
で終わるようになっていれば良いので、hello.py
ではなくgood_evening.py
でも良いです。ただ、ファイル名にスペースを使うと後々面倒なのでスペースはアンダースコア(_
)に置き換えて下さい。
開かれたアプリを使って、以下のプログラムを入力してみて下さい。
print("Hello, World!")
しっかりcommand⌘+Sで保存して、Terminal 上でhello.pyを実行します
python3 hello.py
Hello, World!
と返ってきたでしょうか?これであなたも歴としたPython プログラマーです。
この後はプログラム編集アプリ(エディター)を準備するのもよし、実際に何か作ってみながらPython を勉強するのもよしです。読者の方にお役に立てそうな記事を以下に貼っておきます。本当にお疲れ様でした!